先生の話

今年新任の英語の先生が授業の始まりに
ちょっとしたきっかけで ある事故の話をした

自分が学生だった頃 電話をしながら運転していた車に
はねられたそうだ

それほど 珍しくもなんとも無い事故
ただ運がよくて たまたま死ななかった

「運が悪かったらあんた死んでたよ」
たまたま 言われた先生の言葉

忘れかけてた 1年前の罪
きっと 一生忘れる事など出来ない

僕は ただ押さえきれなくて ただ泣いた
親身になって話を聞いている クラスメイトに悟られない様に
ただ 声を 押し殺して 泣いた

もし あのときの私が今を見る事が出来るのなら
私は 罪を犯すことなんて なかっただろう

間接的に 事故が起こった訳じゃない
でも 僕にも罪はある

恨む事しか出来なかった 罪を見つめる事しか出来なかった
僕は 子供で あいつは大人だから

正義とか悪とか そんなの関係なくてさ
ただ 笑ってるだけのあいつが憎い 私が 悪だと

ただ そう思う


もし 人間の有限な時間の無限の選択の中で
運命が 変わっていたなら

あれは 無かったのだろうか
それとも 最悪の結末を迎えていたのだろうか

もし 無限の運命を左右しているのが 神なら
僕は きっと たちむかうだろう

そうじゃなきゃ 僕は きっと潰される
僕の罪に 選択に そして背負う未来に

前を進む為に ただ僕は独りになる